※創刊号(2021.8.8)~第37号(2022.4.10)はこちらをご覧ください。⇒ https://yumejitotaiwan.exblog.jp
※ビジュアル夢二ブログ「夢二と台湾」⇒ https://jasmineproject.amebaownd.com/
■メッセージ■
「2016年、通信文化協会の新企画「世界の郵政博物館を訪ねる旅」の担当として生まれて初めて台湾を訪れました。郵便の国際協力の仕事で18か国ほど行っていたのですが、訪台の機会を逸していました。台北に5日間ほど滞在するうちにその魅力にすっかり取り込まれ、案内書を作成している時に竹久夢二(1884-1934)が台湾に行ったことを知りました。この旅行企画は2020年にコロナ禍で中止となるまで3年間続けて実施されましたが、このプロジェクト「夢二と台湾2023」の原点はまさにここにあったといえます。
昭和8年(1933)、夢二は友人に誘われて台北を訪れ個展を開催。ところが、絵がほとんど売れなかったうえに、持って行った絵や日記などがすべて盗まれてしまい、さらに体調も悪化して帰国。翌年帰らぬ人となってしまったのです。
この謎めいた夢二の台湾旅行に着目した私は、2019年10月、独自に夢二の台湾での足跡をたどる旅を企画。夢二研究会(代表 坂原冨美代)の会員に加え、光栄にも金沢湯涌夢二館・太田昌子館長にも同行いただき、田世民台湾大学副教授、王文萱京都大学博士のほか、中華郵政公司の林立富(Woody)や蔡嘉陽(Andy)氏など台湾の多くの友人の協力を得て実施することができました。
そして今、夢二訪台90周年を記念したプロジェクト「夢二と台湾2023」を実施するに至りました。
この週刊ブログでは、今後100回にわたり夢二にまつわる様々な話や彼のミステリアスな台湾旅行について綴ってまいります。」
以上が「週報」創刊号の編者からのメッセージでした。時は2021年8月8日。それ以来、昨年秋に入院で一時中断したものの、ついに目標としていた100号を迎えることになりました。これまでおつき合いいただいた皆様、ありがとうございました。心より感謝申し上げます。
おかげさまで、夢二の訪台、夢二の素顔、そして夢二の多彩な才能を発揮した魅力について、数多くの文献の引用を中心に自論も述べさせていただきました。特に、竹久夢二美術館学芸員の石川桂子様には、多くの著書の中から引用させていただき、記事を作成しながら夢二にまつわる事象を数多く勉強させていたいたほか、訪館した際には多忙な仕事の中、様々な相談にも乗っていただき、感謝に堪えません。
また、坂原冨美代様が代表する「夢二研究会」の皆様からも多くのご支援をいただき、発表の機会も何度も与えていただきました。そして、私が初めて個人で企画した台湾ツアー「夢二の見た台湾」(2019.10-11)にもご参加いただきました。このツアーには、光栄にも金沢湯涌夢二館館長の太田昌子様にもご参加いただき、旅行中に様々なご助言をいただけたことも、本当に幸運だったと思います。
この「週報」は夢二の訪台に関するプロジェクトの広報版のような位置付けでしたが、このプロジェクトの発端を形作っていただいた台湾大学日本語学部・田世民副教授には、このような機会を与えていただいたうえに、「週報」を毎週購読いただき助言をいただくなどの継続的なご支援をいただきました。ありがたいことと心から感謝し、この恩に報いようとする思いが長年続いたコロナ禍での準備期間のエネルギーの元になりました。
そして、今回、夢二の魅力に関する講演をいただくことになっている王文萱さんは、京都大学院を夢二研究の卒論で卒業した夢二の専門家であり、このプロジェクトの準備期間に、美術部門のベストセラーとなった台湾初の夢二専門書を刊行し、今回講演会を開催予定の北投文物館で夢二展覧会を半年以上も開催しています。本来なら王文萱さんが主講演者となるべきところ、夢二と台湾に関するテーマということで私が主となっていることについては、非常に恐縮しているところです。この王さんの活躍によって、おかげさまで、この6月に打合せのため北投文物館の洪侃館長との面談も順調に進みました。
最後に、JASMINe Project Internationalの台湾チームとなっていただいた中華郵政公司の林立富さん、蔡嘉陽さん、そしてトラベル・エージェンシーで活躍の中国語・英語・日本語をこなすマルチリンガル女史である楊臻さんには、日本語から台湾華語への翻訳を担っていただきました。コロナ禍で全く会えない中、3年間友情を温め合いながらここまでやって来ることができました。感謝しています。まだ翻訳作業は進行中ですが、彼らの力がなければ、この講演会によって台湾での夢二への関心が高まることは困難であり、彼らの功績を大きく称えたいと思っています。
この日を迎え、いよいよ10月14日の国内講演会を経て11月に台湾に渡り、台湾大学及び北投文物館での講演に向かいます。講演会で上映する短編挿絵動画「ひいばあちゃんの夢二ハンカチ」も、去る8月9日に、舞台演出家・秋葉由美子さんの演出により、俳優・鈴木愛子さんの語り部分の録音が完了しており、9月末の完成を目指して編集作業を進めているところです。
ご承知のとおり、夢二の台湾の旅は謎が多く、まだまだ興味深いことが山積みになっています。そもそも2020年に予定されていた講演会が、コロナ禍で延期を余儀なくされたのですが、私は、この講演は、「夢二の台湾の旅」の解明の単なる始まりに過ぎないと思っています。今後とも多彩な夢二の人物像と言動を追いかけて、日本でも台湾でも夢二を追いかけていく所存ですので、今後ともよろしくお願いいたします。
なお、これまでの連載もので今号で終了していないものがありますが、それは来週以降補追の形で発行を続けようと考えています。
これまで長い間、ありがとうございました。皆様方のご支援に心より感謝申し上げます。
※補追版は2号を予定しています。(8月20・27日)



▼北投文物館での洪館長、王主任との打合せ(2023年6月)


▼挿絵動画「ひいばあちゃんの夢二ハンカチ」録音風景



▼「夢二と台湾2023」夢二研究会での発表会(2023年7月)▼プロジェクト台湾メンバー

![[■]JPI 日台合同チーム](https://livedoor.blogimg.jp/yumejitotaiwan/imgs/2/5/251155a8-s.jpg)
▼「夢二と台湾2023」

■竹久夢二の素顔■
●廣田知子「みなと屋の夢二」(12)(『竹久夢二』竹久夢二美術館(石川桂子学芸員)監修(河出書房新社)の「夢二を知る女性たち」より)
(注)本文は、文筆家の廣田知子が『猫町文庫』第四集 2013年(平成25)猫町文庫」に掲載したものです。
・大晦日
ソノが竹久家に居て一番深く印象に残った出来事といえば、大晦日の借金取りの連中に出会ったことであった。玄関に幾人かの異様な雰囲気の男たちが座り込み、或いは腕組みをして突っ立ったまま主人との面会を待ち受けているところへ、ソノはみなと屋から食事に帰ってみて仰天した。が、ばあやは格別慌てる様子もない。事情を聞くと、近所の米屋、酒屋、炭屋、八百屋、魚屋、などすべてに借金が嵩み、夢二の名を聞くと誰もが帳付けでは品物を売ってくれなくなっているので、毎日のお惣菜も遠くの店まで買い出しに出かけているのだという。夢二がしばしば催した兎鍋パーティーも、故郷岡山の田園生活を偲ぶといった優雅な趣向ではなく、金欠病の窮余の一策であったのかも知れないとソノはこのとき勘ぐってみたりした。
「あんなに借金取りがいて、怖くていやですわ」
と夢二に訴えると、
「放っとけ、放っとけ、その内帰るさ」
とにべもなく無視していたが、やがて玄関に姿を見せると、
「来年になれば三越のポスターを描くことになっているんだ。そのとき金が入ったら払うよ。今はないんだから帰ってくれ」
と言い捨ててぴしゃりと襖を閉めてしまった。或いはこの借金取りの中には半襟の仕入れ元や、絵具、絵絹を扱う画材商、呉服屋なども混じっていたのかも知れない。というのはこれは何も外部の者だけに限ったことではなく、ソノ自身半年近くも同じ釜の飯を食べ、多数の半襟を刺繍し、その殆どが売れてしまったというのに、一銭の工賃も支払ってもらったことがないという事実である。それなら交換条件としての絵の指導に時間を割いてくれたかというと、これも夢二が絵を描く様子を二度見学させてもらっただけであった。ソノの考えではお手本の教材を与えてくれるとか、絵を描かせて欠点を指摘してくれるとか、基本的な指導方法を期待していただけに、これは大きな見込違いであった。たまきにそれとなく不満を洩らすと、
「パパさんの気持ちが呑み込めたら、もうそれで絵心が分かるっていうことなのよ」
と言葉巧みに慰撫されてしまった。理屈としては確かにそうであろうし、ソノがもし絵を描くことの大好きな娘であったなら、自分から作品を夢二に示して、いくらでも批評を求めることが出来た筈であった。彼女が夢二の一方的な指導だけを期待していたのは明らかに彼女の積極的な意思の欠如であり、夢二にはそれが見えていたのであろう。店番の花ちゃんもソノと一緒に夢二の絵の制作過程を見学したところをみると、同じような条件で雇われていたのかも知れないし、版画家の村瀬も大方似たりよったりの状態ではあるまいか。
しかし一番の被害者は竹久家の家事一切を取りしきり、遠く迄食物の調達に出向き、幼い子供の世話まで一任させられていたばあやであった。彼女の繰り言を聞くと、那須温泉に不二彦を連れてやってきたたまきに口説かれてて上京してきたのだが、給金はまだ一銭も支払ってくれず帰るに帰れない状態だという。那須にはばあやの娘がいて早く戻ってくるようにと催促されるのだが、着の身着のままじゃ格好がつかないし、不二彦に慕われれば可愛くもあるし、この先ここに居ても果たして給金を払ってくれる当てはあるものだろうかという後悔やら、先行きの不安やらを訴えるため息まじりの愚痴であった。
たしかにたまきには美人という自負心に裏付けされた中々に口上手な一面があり、夢二は夢二で自分の作品を版画に彫らせたり刺繍をさせたりして、商品としての可能性を追求するのに商売気旺盛なところがあった。それだけにみなと屋は大繁昌で、相当の収入が見込まれていたg、夢二は外で派手に遊ぶし、たまきはそれに対抗するように次々と衣装を新調するので、台所は文字通り火の車という状態であった。(つづく)
■大正浪漫トピックス
「漫畫慢言 夏の夜のモダンガール尾行記」藤本斥夫(『婦人世界』第21巻第8号 文・挿絵 1926年(大正15)8月)
*『大正ガールズコレクション 女学生・令嬢・モダンガールの生態』石川桂子編著(河出書房新社)より
(編者)これは、著者が夏の夜の銀座に繰り出して書いたモダンガールの観察記です。料理店、日比谷公園、有楽町駅まで尾行してルポしているようです。オノパトペを多用した文章が非常にユニークで、当時の流行言葉が溢れ、リズムに乗った口語調なので実際に声が聞こえてきそうで、面白さが満載です。しかし、今こんな記事を投稿したらストーカー行為で大炎上どころか逮捕されそうですね。
こんどは和洋料理店で丼を食べておじゃった、鰻丼じゃげな、そんな匂いプンといたす。また見失うてはなるまいほどに、私も入って食べて待つといたそう、さてと、おまんまはさっき食べてまいったので、アイスクリームがよかろうと存ずる。ソロリソロリ食べよう。フフンこれは涼しい、フフンこれは冷こい。モ一つとって、待つといたそう……サテモサテモお二人の召し上がることは、丼の次に林檎を三つ食べてござる。林檎の次にコーヒーとアイスクリームを食って、まだそのほかにメニューを探してござる。私はもうお腹がくちくちに凍えてまいった。先へ出ればまた見失うほどに、どうとう四つもとって食べてしまった。歩くたんびに冷たいゲップが逆とんぼして出てきて、情けないにもほどがござる。
それじゃと言うて徐行するわけにも参らず、どれ続いて尾行しよう……。あれあれ、電車の前を飛んで向こう側へ走りおったわい。はてさて、わずらい多いことじゃ、自動車が参った、自転車が参った、自動車が参った、やれなんとしょう……危ないほどに早う通り抜けずばなるまいぞ。ソレ、走るぞよ、それ転ぶぞよ、ヤレヤレこれでまず安心いたした。イヤ危ないところ、自動車めが足元を通りおる。
「ブーブーッブーブー!」
さてさて、あの二人はおじゃるかな、ほっ、とっとと先に、手をつないで、よりそって、だまって歩いてござるわい。四つの瞳からまろび出る愛熱のリズムが、いみじくも楽しくもつれ絡みついて、千万無量を物語っておじゃる。
またとない人生のほがらかな、スタイル……あら、あら、前から来た書生っぽめが二人の手手を、割って通りくさったわい。振り返って「エヘン」といいくさる。ヤーイにくらしい、いか目の鬼にとって食われおろうぞ。
これはしたり、またいらぬこと言うて、遅れてはなるまいぞ。・・・・・・オヤオヤまたお買い物でおじゃる……さて何をお買いなされたろう、なに、鈴蘭刷りの紫、便箋紙……これは一段と喜ばしいことじゃ。星と菫(すみれ)の文字にうずまったラブレターとやらが、百通ぶりのお買い上げでござる。
ねたましくも、また、妬ましい限りでは、おじゃらぬか。
おやこれは暗い道じゃ、いたく淋しい通りに出たわい。はてな、日比谷公園のほうへ行きやるぞ。公園の小暗い繁みに白い二つの洋服を滲ませて、ヒタヒタと話込む魂胆でござろうか。
「甘い囁き、聞きとうござる。急ぎ、いそぎ参ろうよ」
「甘い囁き、聞きとうござる。急ぎ、いそぎ参ろうよ」
アラッラ、さても、さても、情けなや、二人の白い影身が、スーウと、有楽町の停車場へ入り込んでしまったわい。ヤーイ、ヤーイ……のがすまいぞ、やるまいぞ、やるまいぞやるまいぞ。(完)
■夢二の世界■
PART 4 「夢二のデザイン」(「竹久夢二 《デザイン》モダンガールの宝箱」(竹久夢二美術館 石川桂子著、講談社)より
15 カット・イラストの仕事
(3)『どんたく絵本』
『どんたく絵本』は、1集が「クリスマス」、2集が「お正月」、3集が「動物園」をテーマにした絵本シリーズである。ここに掲載した1、2集は226X165㎜という横長のサイズで、14ページの紙面に文章は一切なく、イラストレーションのみで構成された。
ページをめくると、各集のテーマに沿ったイラストが、見開きで一枚の絵として現れる。画面の余白を生かしながら、3色に抑えた色使いで子どもや動物、玩具等がシンプルに描かれた、個性溢れる絵本となっている。
1、2集の印刷者として奥付に記された、エム・ジョネー・オカダは、日本木版印刷株式会社の専務兼工場長で、『婦人グラフ』に掲載された夢二の表紙絵も手掛けた人物であった。
▼「竹久夢二 《デザイン》モダンガールの宝箱」(竹久夢二美術館 石川桂子著)より
●「夢二の新聞連載ルポ 「東京災難画信」―100年前の自画自作小説と画信―」(金沢湯涌夢二館、6月24日(土)~9月10日(日)※毎週火曜休、8月15日(火)臨時開館、8月16日(水)臨時休館)
竹久夢二(1884-1934)は、明治末期から昭和初期に活躍した詩人画家です。今年は大正12年9月1日に発生した関東大震災から100年目となります。夢二は、震災発生後まもなく、絵入りルポルタージュの 「東京災難画信」を『都新聞』に連載しました。会場には、その手稿や震災直後の東京を描いたスケッチブックを展示します。また、十代の頃に家出をして単身で上京するほどに夢二は東京に憧れを持ち、その後の生活拠点としました。
本展覧会では、東京や都市文化を描いた作品のほか、夢二の遺品から絵葉書など戦前の東京の様子を伝える資料も紹介します。
さらに、夢二が「東京災難画信」と 同時代に執筆し挿絵も描いた新聞小説を中心に、新聞や雑誌上で発表した文学と絵画の作品のほか、新聞挿絵が貼り込まれたスクラップブックや当館初公開作品を含む原画と下絵も展示します。
https://www.kanazawa-museum.jp/yumeji/exhibit/index.html
●竹久夢二のすべて 画家は詩人でデザイナー」(京都 福田美術館、2023年7月14日(金)~ 10月9日(月・祝))
本展は2024年に生誕140年、没後90年を迎える画家、竹久夢二の回顧展となります。
「夢二式美人」と呼ばれ、一世を風靡した美人画の数々に加え、雑誌の挿絵、楽譜の表紙デザイン、本の装丁や俳句・作詞にいたるまで、多彩な才能を発揮したクリエーターとしての夢二の魅力が詰まった作品の数々をご覧いただきます。
200点以上の作品がまとまって公開されるのは関西では約30年ぶり。夢二ファンはもちろん、老若男女を問わずお楽しみいただける展覧会です。
https://fukuda-art-museum.jp/exhibition/202304302843
●企画展「夢二が見つめた1920年代」(竹久夢二美術館、2023年7月1日(土)から9月24日(日))
関東大震災からモダンガールまで夢二作品を紹介(FASHION PRESSより)
大正時代から昭和時代へと変わる1920年代は、日本の近代化に伴う様相が広く人びとに浸透していった時代であった。この時期、竹久夢二は、夢二式美人と呼ばれるセンチメンタルな女性像で人気を集める一方、急速に変化する社会を反映した作品も手がけている。
企画展「夢二が見つめた1920年代 ─震災からモダンガールの表現まで─」は、20年代における夢二の創作を紹介する展覧会。関東大震災にまつわるスケッチとエッセイ、当時流行したモダンガールを描いた作品などを展示する。
1923年に発生した関東大震災は、江戸時代の面影を残す東京に甚大な被害をもたらす一方、大規模な復興事業により新たな建築などの整備が進められ、東京は近代的な都市へと変貌してゆくこととなった。本展では、夢二が被災地・東京を描いた「東京災難画信」などを展示し、震災により変わり果てた風景や生活の様子、復興へ向けての動きに光をあてる。
大正時代は、女性の社会進出や関東大震災の発生などを背景に、女性の洋装の需要が高まった時期であった。この頃から昭和初期にかけて、洋装を着用する若い女性は、モダンガールと呼ばれている。会場では、モダンな装いを捉えた夢二の作品に着目し、モダンガールをアール・デコ風に表現した《涼しき装い》や、洋装と和装の取り合わせを描いた《湖畔の秋》などを紹介する。
https://www.fashion-press.net/news/103627
●館蔵品企画展「竹久夢二展~夢二式美人を中心に」を朝日町ふるさと美術館で開催。(「富山新聞」)
朝日町ふるさと美術館の竣工(しゅんこう)式は6日行われ、約50人が隣接する不動堂遺跡を含めた文化歴史ゾーンの核施設として滞在・体験型観光の拠点となるよう期待を込めた。旧美術館から移転、展示スペースを1・5倍以上にしてリニューアルオープンする。7日から一般開放される。
3億8212万円を投じ、同町横水の交流体験施設「なないろKAN」を大規模改修した。有利な財源を活用し、町の負担は総額の4分の1となる。周辺には歴史公園や埋蔵文化財保存活用施設「まいぶんKAN」もあり、町は「歴史と文化の薫り漂うふるさとゾーン」に位置付けている。
7日からは開館記念の特別展「光と影のモビール 現象する歌」、館蔵品企画展「竹久夢二展~夢二式美人を中心に」(いずれも富山新聞社後援)が開かれる。
特別展は現代アート作家小松宏誠さん(42)による光や音、動きを生かして空間を彩るモビール、羽根の立体作品などで、6日の内覧会では小松さん自身が幻想的な展示を解説した。朝日町の海をイメージし、和紙やフィルムで光のきらめきを表現した作品が注目を集めた。特別展は9月10日まで、竹久夢二展は一部作品を入れ替え10月22日まで。
https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/1118614
●「竹久夢二展ー大正ロマンに魅せられてー」平野美術館(中日新聞 2023年6月7日)
特別展「竹久夢二展−大正ロマンに魅せられて−」(中日新聞東海本社共催)が十日、浜松市中区の平野美術館で開幕します。8月13日まで。
「夢二式美人画」と呼ばれる画風を築き、大正ロマンを代表する画家へと上り詰めた夢二(本名・茂次郎(もじろう)、一八八四〜一九三四年)。岡山県の酒造業を営む家の次男として生まれ、特定の師に就かず独学で絵を学びました。
本展では「竹久夢二専門画廊 港屋」(東京都中央区)などが所蔵する肉筆作品、表紙画を手がけた雑誌や楽譜、千代紙や封筒、関東大震災を報じた新聞記事、自ら撮影した写真を通じ、幅広い創作活動を紹介します。
愛あふれ、花開く マルチな芸術、デザインや詩も
明治十七年、岡山に生まれた夢二は、詩人や画家を目指して十八歳の時に上京します。新聞や雑誌にコマ絵(挿絵)を投稿するうちに徐々に人気となり、当時の出版文化の隆盛とともに日本中にブームを巻き起こしました。
婦人グラフの五月号表紙「藤の花」(作品(1))は当時の女性向け高級グラビア雑誌で、夢二人気にあやかり、飛ぶように売れたといわれています。
生活と美術の融合を目指し、さまざまな生活雑貨のデザインも手掛けています。「千代紙・大椿」(作品(2))は夢二デザインの生活雑貨を売る「港屋絵草子店」で販売されました。
美人画で有名ですが、キャリアの晩年にいたるまで、子供向けの書籍や雑誌に数多くの表紙絵や挿絵を描きました。「花のたよりの文つかひ」(作品(3))は「少女画報」という当時の女の子向けの雑誌に掲載されました。
当初、詩人を志していた夢二は多くの詩作も残し、中でも有名なのが夢二が作詞を担当した楽曲「宵待草(よいまちぐさ)」です。この宵待草が発表・掲載されたのが楽譜集「セノオ楽譜」シリーズです。夢二は二百七十余点の表紙絵も手掛け、「ホームソング」(作品(4))は楽譜集に掲載した水彩原画です。
昭和六年、四十八歳の時に夢二はかねての夢だった欧米への旅に出ます。しかし世界恐慌の中、思うように絵も売れず失望と苦難の連続でした。「舟泊り」(作品(5))は昭和八年にベルリンで描かれた貴重な作品です。体調を崩して帰国した夢二は翌九年、長野で波瀾(はらん)万丈の生涯を五十一歳で閉じます。
近年では「グラフィックデザイナーの原点」「カワイイの原点」とも評される夢二。本展で夢二芸術の多様性に触れて頂けると幸いです。
(株式会社港屋 代表取締役 大平龍一)
https://www.chunichi.co.jp/article/704998
●「竹久夢二 - 大正ロマンに魅せられて - 」(公益財団法人平野美術館)
竹久夢二は明治17年、岡山県邑久郡本庄村の代々酒造業を営む家に次男として生まれます。そして単身上京し、特定の師に就くこともなく独学でいわゆる「夢二式美人」をはじめとする画風を築き上げました。大正モダンの中で確立した作風は、現在でも色褪せることなく多くの人々に愛されています。夢二は複数の女性と関係をもっていたことから、恋多き男性としての側面がよく取り上げられています。しかし夢二は子供向けの童画も多く手掛けており、いつまでも童心を忘れない純粋な精神の持ち主でもありました。
今回の展覧会では肉筆作品をはじめセノオ楽譜・書簡・著作本・絵葉書・雑誌の挿絵・ポスターまで、夢二が手掛けた幅広い画業に光を当てました。ぜひこの機会に真の夢二像に触れていただければ幸いです。
前期: 6月11日~7月17日
後期: 7月19日~8月13日
http://www.hirano-museum.jp/takehisayumeji-taisyouromannnimiserarete.html
●2023年夏の企画展「Taisyo Romantic Design-夢二のモダン×伝統デザイン-」 当館新収蔵作品《千代紙「きのこ」》を岡山で初公開
2023年6月6日(火)~(岡山)夢二郷土美術館本館にて開催 両備ホールディングス株式会社
夢二郷土美術館本館(所在地:岡山県岡山市中区浜2-1-32、館長:小嶋光信、運営:公益財団法人両備文化振興財団)では、2023年6月6日(火)より、「Taisyo Romantic Design-夢二のモダン×伝統デザイン-」と題した企画展を開催いたします。
本展では、夢二のスクラップブックから夢二デザインのイメージソースを辿るとともに、夢二式美人に応用された夢二デザインの形もご紹介します。また、夢二がアールヌーヴォーから影響を受けた作品の一つでこのたび当館新収蔵となった《千代紙「きのこ」》を初公開。令和の私たちが見ても胸高鳴る大正浪漫のデザインの数々をお楽しみください。
<夢二郷土美術館 https://yumeji-art-museum.com/>
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000174.000052428.html
●越懸澤麻衣著『大正時代の音楽文化とセノオ楽譜』が発売中!
https://honno.info/kkan/card.html?isbn=9784867800096
●ひろたまさき著『異国の夢二』が発売中!
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784065323465
●夢二の雰囲気に包まれてオリジナル懐石を楽しめる!――神楽坂「夢二」
https://www.kagurazaka-yumeji.com/
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